建築学教育プログラムは、2004年度、日本技術者教育認定機構(JABEE)により、
「認定(認定有効期間は5年《2004~2008年度》)」という認定判定を受けています。
以来、受審を継続し、現在の認定期間は2015-2020年度です。
日本技術者教育認定制度とは
大学など高等教育機関で実施されている技術者教育プログラムが、社会の要求水準を満たしているかどうかを外部機関が公平に評価し、要求水準を満たしている教育プログラムを認定する専門認定(Professional Accreditasion)制度です。
日本技術者教育認定機構(JABEE:Japan Accreditation Board for Engineering Education / 設立1999年11月19日)は、技術者系学協会と密接に連携しながら技術者教育プログラムの審査・認定を行う非政府団体です。
JABEEの認定を受けた教育プログラムの卒業生には、以下に示すような資格の付与やメリットがあります。
- 技術士補に相当する修習技術者の資格付与
- 技術士など、各種資格試験を受験するまでの期間短縮
- 海外の大学での取得単位の互換が可能
- 海外の資格試験の受験などが可能
日本技術者教育認定基準(基準:平成24年度以降)
JABEEは、教育プログラムを認定するために、以下の4つの基準を設けています。これらすべてを満たせば、認定を受けることができます。
基準1:学習・教育到達目標の設定と公開
基準2:教育手段
基準3:学習・教育到達目標の達成
基準4:教育改善
このうち基準1の学習・教育到達目標の設定と公開は、学生にとって特に重要です。これらについて、以下に詳しく説明しています。
学習・教育到達目標の設定と公開
この基準は(1)と(2)の項からなり、基準1の(2)では、自立した技術者の育成を目的として、下記のa.-i.の各内容を具体化したプログラム独自の学習・教育到達目標が設定され、広く学内外に公開されていることを求めています。
- 地球的視点から多面的に物事を考える能力とその素養(地球的視点)
- 技術が社会や自然に及ぼす影響や効果、及び技術者が社会に対して負っている責任に関する理解(技術者倫理)
- 数学及び自然科学に関する知識とそれらを応用する能力(数学自然科学)
- 当該分野において必要とされる専門的知識とそれらを応用する能力(専門的知識と応用する能力)
- 美観上、及び技術上の諸要求に応える建築の設計・計画の能力
- 建築の歴史・理論、及び関連する芸術、工学及び人文科学に関する十分な知識
- 都市の設計・計画及びそのプロセスに関する十分な知識
- 人間と建物、建物相互、及び周辺環境の空間を理解し、適切な質と尺度を与える能力
- 建築設計・計画の職能とその社会的使命の理解
- プロジェクトの基本的な調査方法、構造計画、施工技術、その他関連する技術の理解
- 快適で安全な室内環境を得るための建物性能、技術に関する十分な知識
- 関連する産業、予算、法的制約を調整し、統合的な設計および工事費管理をする能力
- 環境保全、修復、及び生態学的持続可能性の重要性に関する十分な知識
- 建築施工原理の包括的理解に基づく建築構法に関する能力の研鑽
- 種々の科学、技術及び情報を利用して社会の要求を解決するためのデザイン能力(デザイン能力)
- 論理的な記述力、口頭発表力、討議等のコミュニケーション能力(コミュニケーション能力)
- 自主的、継続的に学習できる能力(継続的学習)
- 与えられた制約の下で計画的に仕事を進め、まとめる能力(まとめる能力)
- チームで仕事をするための能力(チームワーク力)
土木建築学科 建築学教育プログラムの教育・学習到達目標
建築は、人間生活のすべてに関わるものです。従って、土木建築学科 建築学教育プログラムは、理系と文系の領域を合わせもつ建築という学問分野を総合的に把握する能力とバランス感覚を持ち、快適性、安全性、利便性、環境調和性、芸術性などを総合的に考慮しながら、魅力的で持続可能な建築や都市を創造できる人材を養成することを目標にしています。
これを実現するために、本教育プログラムの学習・教育到達目標は、(1)一般教養並びに工学基礎の知識・能力、(2)包括的な専門知識・能力、(3)より高度な包括的な専門的知識・能力、の大きく3つに分かれ、以下の15項目からなっています。学部生は、これらの目標を十分理解して学習することが求められます。
(1) 一般教養並びに工学基礎の知識・能力:Aj
A1: | 人間の尊厳と環境との調和を認識し、社会に貢献できる人格を形成するための人文科学の基礎知識を習得する。(人文・社会科学の基礎知識) |
A2: | A1で習得の(人間の尊厳と環境との調和を認識し、社会に貢献できる人格を形成するための)知識を工学技術に応用する能力を養う。(技術者倫理) |
A3: | 建築の構造・計画・環境・材料施工の物理的事象を理解するための数学や自然科学の基礎知識を習得する。(自然科学の基礎知識) |
A4: | 建築の構造・環境・材料の解析や計画設計に必要な情報科学の基礎知識を習得する。 (情報処理能力) |
A5: | 与えられた課題を達成するために、論理的な記述や討議の技法、国際的・学際的な視点とコミュニケーション能力を修得する。(グローバル学修能力) |
(2) 包括的な専門知識・能力:Bj
B1: | 建築空間の記述とその機能及び建築デザインに関する基礎理論を理解し、芸術・技術及び人文科学を踏まえた建築を計画し、表現するための基礎知識を習得する。 (建築計画と設計の基礎知識) |
B2: | 音・光・熱・空気などの建築環境に関する基礎的理論を理解し、快適で地球環境に優しい建築・都市計画ための基礎知識を習得する。(建築環境工学の基礎知識) |
B3: | 構造力学や各種構造の特徴に関する基礎理論を理解し、安全な建築構造を創造するための基礎知識を習得する。 (建築構造の基礎知識) |
B4: | 多種多様な建築材料の性質や構造部材としての特性及び性能評価法を理解し、安全で機能的な建築生産のための基礎知識を習得する。(建築生産の基礎知識) |
B5: | 建築や都市の成り立ちに関する基礎理論を時間的・空間的広がりの中で理解し、効率的で芸術性豊かな居住環境を創造するための基礎知識を習得する。 (都市計画・建築史の基礎知識) |
(3) より高度な包括的な専門的知識・能力:Cj
C1: | 建築技術者として必要な、建築・都市に関する基礎理論を応用する能力と安全性、機能性、快適性及び芸術性に配慮した建築を計画設計し、表現するための専門的技術を習得する。 (建築計画と設計の専門的知識) |
C2: | 建築環境工学の基礎知識を設備計画や環境計測に応用する能力を養う。 (建築環境工学の専門的知識) |
C3: | 建築技術者として必要な、構造力学・各種構造学・振動学に関する専門的知識と技術を習得する。(建築構造の専門的知識) |
C4: | 建築工事の施工と管理の流れを知り、建築物のライフサイクルを通した建築生産の技術と業務に関する知識を習得する。(建築生産の専門的知識) |
C5: | 建築学に関連して、他分野も含む総合的な観点を取り入れながら問題点を見出し、自主的・計画的・継続的に問題解決する能力を養う。(建築学分野の応用能力) |