概要
1.建築・都市を創出する方法を学びます
21世紀を迎え、日本の社会は高度に成熟した文明社会を迎えつつあります。安定的な経済状況の中で、持続可能で高度に発展した社会環境及び文化的環境の到来が予測されます。
熊本大学工学部土木建築学科建築学教育プログラムでは、このような社会的環境のもとで、豊かで魅力ある生活環境を提供し、自然と人間社会の共生や地域文化の育成に寄与するような、建築や都市を創出する方法を学びます。

2.人々の関わるところ全て建築に関わります
建築は人間活動が関わる芸術的、技術的、学術的側面を持っており、あらゆる経験が建築や都市の創出に繋がります。

3.全国的にも有名な研究が数多くあります
ギリシア古代建築、地球に優しい室内気候環境、地震防災・耐震建築、デジタル技術を活用した建築設計、建築資材のリサイクルなど、全国的に有名な研究が数多くあり多方面に及んでいます。

4.優れた教員陣を擁しています
本学科は、日本建築学会賞の受賞者4名や豊富な実務設計経験を持つ教員をはじめ、建築学の幅広い分野をくまなくカバーします。

5.質の高い建築が県内に多数あります
熊本県が1988年から進めている建築文化事業である「くまもとアートポリス」では、質の高い建築物の建設や優れた建設物の保存を通じて、地域の整備・活性化を目指し、後世に伝えうる文化創造を目標としています。参加プロジェクトは120件を超し、県内の各方面に散在しています。

学科長あいさつ
衣・食・住
人間生活になくてはならないものです。いうまでもなく、建築は最後の住を扱っています。この度の東日本大震災では、これまでに経験したことがない大変な被害を受けました。震災直後、被災者の方がまず必要としたのは、寒さと飢えをしのぐための衣食でした。被災生活が長引くと、住への要求が復興の足がかりとして何よりも重要になっています。建築が人間生活の根幹に深く関わっていることを痛感します。
適性・興味
受験生の皆さんが学部・学科を選ぶ判断の一つに適性や興味があるでしょう。しかし、適性とは何でしょうか。例えば絵を描くのが下手だから、自分は建築デザインに適性がないと思っている人がいるかもしれません。今は絵はCGやCADを使ってコンピュータで描く時代です。絵のうまい下手は建築の適性の絶対的判断にはなりません。人間活動に関わることはすべて建築の対象となります。人間が何か活動を行おうとすれば、その活動に見合う機能を持った建物が必要です。教育なら学校、治療なら病院、買い物なら店舗・・・。何事も興味を持てば、それが適性ではないでしょうか。
永続性・多様性
他に、学科を選ぶ基準として、その学科の永続性や職種の多様性についてはどうでしょうか。建築は人間活動を支える器であり機能です。人間が人間活動をやめない限り、建築は未来永劫生き続けます。文明がなくなっても建物は遺跡としてその昔を現在まで物語っているように、建築は人類よりも永続的であると言えるでしょう。それでは職種の多様性はどうでしょうか。建築学教育プログラムにおける設計教育によって培われる広い視野とオーケストラにおける指揮者のような総合的調整能力は、様々な職種で重用される能力であると信じています。
都会性・大自然
熊本大学は、旧制五高から連綿と続く伝統を引き継いでいますが、伝統だけではありません。熊本大学キャンパスは、立地条件に大変恵まれています。
熊本市は、人口70万人を超える九州第三位の都市であり、熊本城を仰ぎ見る中心市街地は西日本有数のアーケード街を有し、若者の活気に溢れています。キャンパスから徒歩でも約30分で行ける距離にあります。また、熊本県は、東にそびえる阿蘇山、西に地平線を見渡す天草と大自然に囲まれ、山の幸と海の幸に恵まれています。このような都会性と大自然を併せ持つ生活環境はめったにありません。大都会のように終電を気にせず中心市街地に集い遊び、休日には阿蘇や天草まで足を延ばし自然を満喫する、平日は工学部キャンパスでリニューアルされた建物の中で建築の勉強をする、大いなる青春時代を熊本大学で過ごしてみませんか?
沿革

(国指定重要文化財)
昭和17年(1942年)熊本高等工業学校建築工学科として発足した熊本大学建築学教育プログラムは、神戸より西で最も古い歴史と伝統を持っています。
昭和19年(1944年)に第1回卒業生36名を送り出して以来、今日まで3,000名を超えるこの道の人材を育成しており、卒業生は多方面にわたって活躍しています。
1996年に建築と土木を統合し、環境システム工学科として活動してきました。2006年度からは建築学科として、2018年度からは再び建築と土木を統合し、土木建築学科建築学教育プログラムとして建築学の教育と研究を進めています。
年(西暦) | 学部 |
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昭和17年(1942) | 熊本高等工業学校に建築工学科を設置 |
昭和19年(1944) | 第1期生卒業 熊本工業専門学校建築科に改称 |
昭和24年(1949) | 熊本大学工学部の創設 土木建築工学科となる |
昭和30年(1955) | 建築学科として分離独立 |
昭和49年(1974) | 環境建設工学科(建築コース)を統合し、建築学科に改組 |
昭和63年(1988) | 建築学科と環境建設工学科(建築コース)を統合し、建築学科に改組 |
平成08年(1996) | 建築学科と土木環境工学科を統合し、環境システム工学科(建築系)に再編 |
平成17年(2005) | 日本技術者教育認定機構(JABEE)に本学科教育プログラムが認定される |
平成18年(2006) | 建築学科として分離独立 |
平成30年(2018) | 建築学科と社会環境工学科を統合し、土木建築学科(建築学教育プログラム)に再編 |
年(西暦) | 大学院 |
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昭和40年(1965) | 大学院修士課程(工学研究科)の設置 |
昭和62年(1987) | 大学院博士課程(自然科学研究科)に環境科学専攻の設置 |
平成10年(1998) | 工学研究科・理学研究科(修士課程)を統合 博士前期課程(自然科学研究科)に再編 |
平成30年(2018) | 自然科学研究科を自然科学教育部に再編 |